マクファーソン社「モノリス」スピーカシステム試用レポート昔、とある誌面にてスピーカのレポートを書いたことがある。 その時にも思ったことだが、スピーカのレポート程、書いていて楽しく且つ書きづらい、書きたいことが山程あるのにどれも書けない、という製品はないだろう。 理由は簡単、スピーカだけは他の音響機器と違って、音色が命の、耳で聴いて判断するしかない機器であって、書き手が自分の耳で聴いた音色を言葉にして伝えようとする以上、結局はただの「感想文」にしかならないからである。 巷のオーディオ雑誌、プロ音響雑誌を見ればご納得頂ける筈だ。評論家と名乗る人種がスピーカの感想文を試聴レポートと称してお金を貰っている。信じがたい話だ。感想文は披露する権利はあってもそれでお金を貰っちゃいかんだろう。 音色に対する感想は、聴いた人の、求めている合格ライン、妥協できるラインがてんで違う。おまけに、その人のバックボーン、好きな音楽のジャンル、使用目的によっても、評価は全く正反対にだってなる。 だから感想文だと言うのだ。「このスピーカは好きだ」「嫌いだ」と、言うのは誰だって自由だ。でも、「好き、嫌い」を「良い、悪い」という言葉に摺り替えてはいけない。スピーカに関するレポートは、「好き、嫌い」の感想文に留めておくべきだ。 以上の理由から、私は、スピーカのレポートは、現場での試用報告のレポートに限定して発表することにしている。そして、必ず、こう付け加えることにしている。 「これはあくまでも、私個人の限定された使用感想です。ですから、貴方がこのスピーカを評価するに際しては、全くアテになりませんので、どうぞ御自分で実際にお聴き下さい。」 今回は、キャパ300程度の、劇場でのミュージカル公演に、マクファーソン社の「モノリス」スピーカシステムをお借りした。
特に3項目は重要だ。コンサートと違ってお芝居やミュージカルでは、舞台両サイドのスピーカが、「はーい此処から音が出てますよー」みたいな顔つきをされていたんでは、うざったくてしょーがないのだ。 最近、各社からの新製品が増えてきたので、何かないかと6月のPAS(プロ音響機器展)を歩いていて出会ったのが、この、マクファーソン社「モノリス」スピーカシステムだ。 まずはスピーカの薄さだ。写真の通り、私の手の平と同じ幅しかない。壁埋め込みスピーカにしたら便利だろうな。壁が薄くて、ウォールスピーカが設置できないホールって、多いもんな。
本来はフライングして使用するそうだが、今回はスタンドで立てることにした。スタンドが2本、ユニット内に格納されている。運搬時はユニット内に収納し、キャスターの付いたケースにモノリスが2枚格納されて運ばれる。実にコンパクトでいい。
今回は写真のとおり、サブウーファーにモノリスを2枚ずつ立てて使用した。サブウーファーには、モノリス用のスタンドを立てる穴が開いていて、しかも、2枚を並べて立てるか、もしくは写真の様に、片方を斜めにして立てることも出来る。 この穴は、モノリスを格納するケースにも付いている。サブウーファーの必要無い時は、ケースからモノリスを出し、モノリス内部に格納された足を出し、ケースに立てる。実に良く考えられている! 足の長さは自由に変えられる。 セットアップした姿は実にスッキリとしていて好感が持てる。ただ、こういうものの常ではあるが、スピーカケーブルを結線すると、計算され尽くした本体のデザインを邪魔する様に、ケーブルが見えかくれしてしまう。ここがちょっと残念。こういうスタイリッシュなスピーカの用途として、屋外や商用スペースでのイベントやショーなど、ファッショナブルな現場でのSRに持って行きたいと思わせるだけに、スタンドにケーブルを通すスリットなんかがあると、もう言うことないのだが。強度の確保が難しくなるのかな? キャノンのスピーカを御存じだろうか。あのカメラメーカーのキャノンが、イギリスで製造し、ヨーロッパやアメリカで販売してとても人気のスピーカである。何故か日本では販売されていないが、何故か私の自宅にはそれがある。これがまた、とてもスタイリッシュなスピーカで、専用スタンドには、スピーカケーブルを通す溝がついていて、セットアップすると、スピーカケーブルの存在を感じさせず、秀逸なデザインの魅力を邪魔することなく、オブジェクトとして完結する。
ケースに立てて音出しをしても、ケースが鳴ることはない。しっかり造ってある。 音域の殆どはモノリスが受け持っていて、サブウーファーは、本当に、振動を担当しているようなものだ。ただ、これは今回の私の公演での音域の問題なのかもしれないが、サブウーファーを切って、チャンデバのロー送りのゲインを上げるよりも、チャンデバのロー送りのゲインを下げてでも、サブウーファーをオンにした方が、低域は伸びやかに、より自然な感じになった。逆をやると、低域が作為的な音に感じる。
音色は、個人的な感想を言えば、中低域に少々甘さを感じた。この甘さは、演劇系の公演や、アコースティック楽器の演奏のSRには、使い方によっては良い方に作用するだろうが、ポップス・ロック系のコンサートや、電子楽器の音にはどうであろうか。 |
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