ヴァーチャルサウンド・音の絵本「赤鼻のトナカイ」制作実況!
| 月刊放送技術(兼六館出版発刊)の連載エッセイ「音話屋ダイアリー」で、ここ何ヶ月か連続でお送りしている、国際福祉機器展に出品するヴァーチャルサウンド・音の絵本「赤鼻のトナカイ」が、8月22日、無事完成いたしました。 制作に至るまでの経緯は、音話屋ダイアリーをお読みいただくとして、ここではスタジオ内の様子をお話しましょう。 この作品は登場人物すべてを、宮城好子さんという声優さんが一人芝居で演じ分けてもらっています。 それをローランドのRSSヴァーチャルサウンドシステムで、聴き手を取り囲むようにあちこちから声が聞こえるようにすることで、一人芝居の面白さを、より鮮やかに、より立体的に楽しんでいただけるように仕上げてみました。 更に、子供の声を出せそうな人々をかき集め、私の妹、由希子もスタジオデビュー!(しかも臨月) ローランドの川内さんも飯田さんも、Lunadfuegoの白石女王様もみぃんな赤鼻だぁ! スタジオでの私の仕事道具は、ご覧の通り、原稿用紙と鉛筆とストップウォッチ。スタジオでは私は決してフェーダーは握りません。あくまでも脚本家、演出家としての仕事をします。 大変にオールドスタイルな仕事の仕方だとは自分でも思いますが、新しけりゃいいってもんでもないですし、劇場のサウンドデザイナーがスタジオでフェーダー握ってたらスタジオの人間に失礼でしょう。 ぢょー中山氏から仕事の合間に、最近の完パケ制作の分業の有り様を教えていただきましたが、少なくとも私に限って言えば、最近のその有り様では、製品は作れても作品は創れそうにもないですし、いつも音話屋ダイアリーで言っている「人間が、人間と、人間を楽しませたり感動させたりするものを創ろうとしているのに、創る側の人間同士が心が通いあわなくてどうする」という理屈(これは舞台の世界の理屈で、スタジオでは、へ理屈になるのかもしれませんが)は、制作の現場に居合わせた人々全員の、その場で閃いたインスピレーションを全部取り込むという制作スタイルなので、いきおい、制作現場はお祭り騒ぎになりますし、また、そうしたいのです。 「俺の仕事はこれだけ。以上終わり」ではなく、役目や立場を超えて「こうしたらもっと良くなるんとちゃう?」と全員が他セクションのことも考えながら進んでいく制作は、舞台の世界の特徴かも知れませんし、効率の悪いやり方でもあるでしょうが、完パケでも有効だと私個人は思っています。 少なくとも、舞台をやっているプロの声優さんたちは同じことを考えています。 脚本は、現時点でこれ以上いじる必要がないと確信できる脚本が手元にある。 今回の声優、宮城好子さんは、全盲の方です。スタジオ入り一週間前にミーティングをした時、待ち合わせの店で、駅までの道のりで、「何てこの国は不自由に出来ているんだ」と、何べん我が事のように腹が立ったことか。 「目が不自由な人」という言い方は不適当のように感じます。単に目が見えないだけなんです。 ミーティングの時に宮城さんに、「何かこちらで用意するものはありますか?」とうかがうと、 それから、「机に、ビロードかフェルトなど、音のしない布をかけて下さい」とのこと。 この2点をぢょー中山氏に伝えると、「そんなの当たり前じゃん」と、先刻承知、言わなくてもぢょーは心得ていてくれてちゃんと準備をしてくださっていました。(こういうところが、流石、分かってくれている、と、私が有り難いと思うところです)が、他所でそのようにクレームをつけられたということについては、ぢょーもあきれかえっていて、「そんなの録る側がちょっと考えればいいことじゃん」と言ってくれます。 宮城さんのような人が、目が見えないというだけで活躍の場が少なくなるのは本当に勿体ない、という以前に理不尽だと感じます。どこのスタジオにもみんな、ぢょー中山氏がいればいいのにね。 収録後、宮城さんに花束を差し上げました。私の妹夫婦、ローラン・ボーニッシュと由希子は、フラワー・アレンジメントの仕事をしているので、目の見えない宮城さんに、(それでもお花が大好きだと伺っていたので)何を差し上げたらいいか相談すると、カサブランカという、大輪の百合の花がいいと教えてくれました。 よかった。この仕事してほんとによかった。その時そう思いました。 この音の絵本は、9月12、13、14日に東京、有明の東京ビックサイトで開催される「国際福祉機器展」に、ローランド株式会社から出展されます。私も開催期間中はプレゼンターとして会場にいます。 |
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