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国際福祉機器展へ向けての、連載第3回目です。
音の絵本「赤鼻のトナカイ」は、有名な「赤鼻のトナカイ」の歌をドラマ化したものです。 サンタさんが赤鼻に言う「いらない人なんて一人もいない。いつかきっと、誰かが、あなたがいてくれてよかった、と言ってくれるよ」という台詞は、それに続いて「だから死ぬな!」という制作サイドの叫びでもあります。 「ありがとうと言ってくれてありがとう」というキーワードにより、感謝されることへの感謝が、好意の押し付けや自己満足を排し、自分が今ここにいる、生きているということへの喜び、感謝になれば、自ら命を絶つなど考えも及ばないはず、という意味です。 そして、作品の中で、サンタクロースが「子供たちのありがとうという言葉が、サンタさんへのプレゼントだ」と言うことで、現実の子供たちの「サンタさんなんていないよ、親がデパートでプレゼントを買うんだよ」という、醒めた、白けた言葉に対してのカウンターパンチにしてあります。 こういうことを、物心ついて間もないうちに、子供たちの心の奥底に眠り爆弾として打ち込んでおき、子供たちが成長していって、スレッカラシの年齢も過ぎ、15年、20年経ったころに、しっかり根付いているように、というのが、この作品のテーマです。 この作品を聴いた子供が、大きくなるにつれて忘れてしまう。それで一向に構わないのです。お医者さんの話では、記憶というのは、「忘れてしまう」のは、無くなってしまうのではなく、すべて脳の中に記録されていて、それがどこにしまってあるのか、意識上では分からなくなる状態のことなんだそうです。 あれは、自分が生命の危機に陥った瞬間、脳はこの危機を回避すべく、何か有効な情報はないかと、記憶の蓄積された部分に入り込み、順不同に次々と記憶を検索するのだそうです。それが「走馬灯のように」記憶が見えるように感じるのだそうです。 よく、「視覚は意識上の感覚、聴覚は無意識の感覚」と言われます。私は音の世界の人間として、音のこの特性を武器とし、いつまでも覚えておいて欲しいことを子供のうちに聴かせておきたい、と考えるのです。 音の絵本が、単に目の見えない子供達への、読む行為の代用ではなく、「絵本」を「音」に「変換」して「読む」のではなく「聴く」ことで、「読むよりもストレートに無意識下の記憶に焼き付ける」有効な方法だということが、お分かりいただけましたでしょうか。 この方法で間違ったこと、悪いことを伝えたら大変なことになります。制作側には、必要以上に目的意識とモチベーションとモラルが求められます。 いよいよ8月下旬、レコーディングです。この号が皆様のお手元に届くころ、私はスタジオで七転八倒しているでしょう。 |