
DENONのMDプレーヤ DN-1100Rによせて
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新年早々、「ふぉるく」という音響会社の、宮沢正光さんという、大変偉い方からお電話を頂き、「インターネットでMDプレーヤについて検索しても、殆どヒットしない。特に現場からの声を上げていくべきだ。」とおっしゃる。至極尤もな御意見なので「そうですね」と返事をすると「君、書きたまえよ」とニコニコしながらおっしゃる。電話なのになんでニコニコしてるって分かるんだというツッコミはしないで頂きたい。声を聞いていても、電話の向こうの表情に確信が持てる、そういう瞬間をどなたも経験したことがおありだろう。 兎に角、「えぇ、私ごときが」と謙遜してみても、先方は今更私の謙遜なんて屁の突っ張りにもならない、お前の心底は先刻承知だ、といったニュアンスで軽くイナされてしまう。こうなるとこちらは唯兜を脱ぎ、手前の底の浅さを恥じるばかりである。 そういう訳で、この際おだてられた豚になって木に登ってみようと思う。 1・エラーが多い どこの現場も、これに応えてくれる製品を探していたが、みんな高級機種は放送局仕様のものばかりで、舞台の現場で使える物がなかった。仕方なく民生機やMDウォークマンを使用していたのを思い出す。 そこに登場したのがDENONのMDプレーヤ DN-1100Rであった。 私はこれを、同じ業界の大先輩、エスイーシステムという音響会社の山本能久さんから御紹介頂いたが、本来はDJ用に開発されたものだという。だから価格が13万から14万程度で、手頃どころか当時の他社の業務用MDに比べれば「安い!」と感じたものだ。 ラックマウントタイプであるというのも有り難かったし、本体に10個の白くて大きい、サンプリングパッドが付いている。これが大変便利だ。 LOADボタンを押すと、自動的にディスクに記録されているトラックを番号の若いほうから10個分、パッドに割り振ってしまう。そうすればその音はもう、サンプラーと同じ扱いになる。それが効果音でも、音楽でも。 もう、効果プランの、従来テープ割りと呼ばれた作業が大幅に変わってしまった。 今までは、例えば人を斬る音が20個なら20個、テープに録音した訳だ。短い間(ま、と読んで下さい)でバシュッバシュッバシュッと行くなら、同じテープに続けて入れておくと、キッカケに合わせて出せなくなるので、複数のテレコに割り振ったものだ。 そして99年1月現在、購入してから今までに2年半余、30公演以上、ステージ数で言ったら一体どれくらいになるだろうか、ずっと私の公演を支えてくれている。そう、一度のエラーもなしに! 全く、こういう情報を互いに交換しあえる会が開催されないというのは嘆かわしいことであると同時に、それが可能であるのがインターネットであるというところが、現場に忙殺される私がここまでのめりこんで自らホームページを開設する最も大きな理由である。 さて、リモートである。このホームページに同じくアップしてあるオタリのMOプレーヤ、DX-5050のレポートにも書かせて頂いたが、リモートは、オペレータの指の延長線であり、製品のスタンスもそうあって欲しいと思うし、指の延長線上としてどういうスタイルであるべきか、というのが、同じ音響でも放送やスタジオや劇場・ホールなどによって要求がテンデンバラバラだというところが、作られる方々の最も頭の痛いところだろう。 DN-1100Rにしても、本来がDJ用として開発されたものなので、舞台公演での使用を想定したリモートが用意されていない。これに関しては、利用者の声をリサーチの上、別途開発する、そしてそのリモートは、1100Rの後継機種にも装着できるようにする、という話を聞いた。大変嬉しく有り難いことである。 私がよく使う言い回しだが、「20万円出して、MDはMDにしか使えない。でもパソコンなら、ワープロにもゲーム機にもCDプレーヤにも通信端末にもなる。この2つをお客様の前に並べて、20万円払って好きなほうを持っていって下さい、と言ったら、誰だってパソコンを持っていくだろう」ということである。 だからカセットテープも消滅し切れないでいるし、オープンも消え切れないでいる。決定打の出ない時代なのだ。 CDの新譜すら、通信によって配信されるようになるのは目前だ。それが技術的に良いか悪いかという議論は当事者達にとって不毛だろう。なんたって、巨額のレコードプレス工場維持費が必要なくなるのだ。求められる枚数分を汗かいてプレスするより、1つだけサーバーを用意して「買いたい人はアクセスしておいで」とやった方が楽で安く付く。利幅が増える。レコード屋さんは端末接続センターになるのだ。 そうやって新譜がCDで発売されなくなった時、ダウンロードした新曲をどうやって保存するかという点において、MDはもう一度、シェアをドカンと爆発的増大させるチャンスを持っている。もちろん記録フォーマットはコンピュータ寄りになるだろう。 ここまでの話から、私は個人的に「6mmオープンの次に来るものは何か」なんて話に何の興味も湧かないし、個人的に早いところ「再生機器レスのオペレート環境」と「通信によって距離と時間の壁を越える環境」にならんもんかと思っているし、そうするとあとは、CD(もしくはDVD?)と、ハードディスクのバックアップとしてのポジションのMO、そしてプロでない人たちとのメディア互換としてのポジションのMDを用意する、というスタイルになるのだろうな、と夢想している。 MDプレーヤは安ければ安いほどいい! ということだ。 |
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